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【生命保険は本当に節税になる?】年末調整における生命保険料控除の節税効果をFPが解説!

こんにちは。ファイナンシャルプランナーのTABO(@tabosuuuu)です。

年末調整の時期になると保険会社から「生命保険料控除証明書」が送られてきます。

多くの会社員は、この証明書を添付資料として年末調整の申請をしていると思いますが、年末調整で生命保険料控除の申請をする理由ってご存じでしょうか?

SU

詳しいことはよくわからないけど年末調整すると税金が安くなるんだろー

程度に思っている人が多いと思います。

税金が安くなること自体は正しいですが、生命保険料控除により安くなる税金は少ないです。

保険の勧誘の際に「生命保険は節税になる」と聞くことも多いと思いますが、きちんと生命保険料控除による節税の効果を知っておくと、節税効果を謳っただけの必要のない保険に入ってしまうリスクを減らすことができます。

ぜひ今回の記事をご覧いただき「年末調整における生命保険料控除の節税効果」が小さいことを知ってください。

生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、所得税や住民税の計算をする際の「所得控除」の1つで、保険料の支払額に応じて所得税や住民税が安くなるというものです。

会社員の人が会社から受け取る、いわゆる額面の年収(=給与収入)を元にした税金の計算方法は以下の通りです。

  • 給与収入 ー 給与所得控除 = 給与所得
  • 給与所得所得控除課税所得
  • 課税所得 × 税率 = 所得税や住民税

赤字にした「所得控除」には15種類の「〜控除」というものがあり、そのうちの1つが今回紹介する「生命保険料控除」です。

注目していただきたいのは、生命保険料控除は、「所得税」や「住民税」から控除されるのではなく、税率をかける前の、給与所得から控除されている点です。

つまり、「生命保険料控除の額の全てが税金から引かれるわけではない」ということです。

生命保険料控除の前提知識

生命保険料控除の控除額を理解する前に知っておくべき前提知識を3つお伝えします。

  • 「2012年1月1日以降に締結した契約」と「それ以前に締結した契約」で控除額が異なる
  • 「一般の生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」の3種類に分かれる
  • 「所得税」と「住民税」で控除額が異なる

「2012年1月1日以降に締結した契約」と「それ以前に締結した契約」で控除額が異なる

生命保険契約の締結が、2012年1月1日以降か以前かにより制度が異なり、控除額が異なります

年末調整で生命保険料控除の申告をする際に、「新」か「旧」が記載されているのはこのためです。

今回の記事では、2012年1月1日以降に締結された契約の「新制度」について紹介しますので、旧制度の控除額を知りたい人は別途調べてみてください。

「一般の生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」の3種類に分かれる

生命保険料控除と一言で言っても、その内訳は以下の3種類に分かれます。

  • 一般の生命保険料控除
  • 個人年金保険料控除
  • 介護医療保険料控除

それぞれの控除ごと控除額の上限が決まっていて、さらに3種類の合計の控除額の上限も決まっています

ご自身の入っている保険が3種類のうちのどれに当たるのかは、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を見ていただければわかります。

「所得税」と「住民税」で控除額が異なる

生命保険料控除は、「所得税の計算」と「住民税の計算」で控除額が異なります。

年末調整時の「源泉徴収票」と、6月頃に会社より送られてくる「住民税決定通知」で、生命保険料控除の額が異なるのはこのためです。

生命保険料控除の控除額

前述の前提知識を踏まえた、新制度における、所得税/住民税それぞれの、生命保険料控除の上限額は以下の通りです。

一般の生命保険料控除個人年金保険料控除介護医療保険料控除合計
所得税4万円4万円4万円12万円
住民税2万8,000円2万8,000円2万8,000円7万円

上記はあくまでも上限額で、生命保険料控除の計算式は以下の通りです。

【所得税】

払込保険料(年間)控除額
2万円以下全額
2万円超 4万円以下払込保険料 × 1/2 + 1万円
4万円超 8万円以下払込保険料 × 1/4 + 2万円
8万円超4万円

【住民税】

払込保険料(年間)控除額
1万2,000円以下全額
1万2,000円超 3万2,000円以下払込保険料 × 1/2 + 6,000円
3万2,000円超 5万6,000円以下払込保険料 × 1/4 + 1万4,000円
5万6,000円超2万8,000円

この計算式が、「一般の生命保険保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」のそれぞれに対して適用されます。

生命保険料控除による節税効果

繰り返しになりますが、前述の計算式で算出された額が、所得税/住民税から控除されるわけではありません。

所得税や住民税の計算方法は以下の通りで、生命保険料控除により安くなるのは課税所得であり、その課税所得に税率をかけた値が所得税や住民税の額になります。

  • 給与収入 ー 給与所得控除 = 給与所得
  • 給与所得所得控除課税所得
  • 課税所得 × 税率 = 所得税や住民税

住民税の税率は課税所得によらず一律10%で、所得税の税率は課税所得額に応じて以下の通りとなります。

課税所得額税率
194万9,000円まで5%
195万円 〜 329万9,000円まで10%
330万円 〜 694万9,000円まで20%
695万円 〜 899万9,000円まで23%
900万円 〜 1,799万9,000円まで33%
1,800万円 〜 3,999万9,000円まで40%
4,000万円 〜45%

年収に対する課税所得は「給与所得控除」や「生命保険料控除以外の所得控除」により結構下がるので、年収が400万円くらいまでは税率5%700万円くらいまでは税率10%になります。

ここで、例えば「一般の生命保険」「個人年金保険」「介護医療保険」それぞれに年12万円支払っていたとします。年36万円、月3万円になるので結構な額です。

前述の生命保険料控除の計算式から、年36万円も保険料を支払っていたとしても、控除されるのは生命保険料控除の上限額である

  • 所得税:12万円
  • 住民税:7万円

であることがわかります。

この合計19万円が税金から安くなるのであれば節税効果は非常に大きいのですが、実際はそうではなく、税率をかけた額しか安くなりません

所得税の税率が5%だった場合、年36万円の生命保険に入っていることにより安くなる所得税は、

  • 120,000 × 0.05 = 6,000円

住民税の税率は一律10%のため安くなる住民税は、

  • 70,000 × 0.1 = 7,000円

合計1万3,000円です。

36万円の支払いに対して安くなるのが1万3,000円ですので、「節税効果を謳うには少なすぎると思いませんか?」

おわりに

今回は年末調整の時期によく目にする「生命保険料控除」というものがどういうものかということを紹介しました。

「生命保険料控除による節税効果は小さい」ということをおわかりいただけたと思います。

「保険は不要」と言いたいわけではありません。

むしろ必要な掛け捨ての生命保険には入るべきです。

今回お伝えしたいのは、

SU

保険のことよくわからないけど節税にもなるみたいだからとりあえず入っておくかー

といった安易な思考で「節税効果を謳っただけの不要な保険に入らないようにしよう」ということです。

TABOブログでは「行動を始められるになる方法」を紹介しており、「まずはリスクなく、あまりめんどくさくない方法で支出を減らそう」ということをお伝えしています。

不要な保険支出を減らす上での大敵です。

今回の記事が、みなさんが今入っている保険が本当に必要かを見直すきっかけになれば嬉しく思います。

今回の生命保険料控除の説明で紹介した、所得税や住民税の計算方法は以下の記事で詳しく紹介していますのでこちらもご覧いただければと思います。

【所得税について】

年末調整と所得税の関係を知ろう

【住民税について】

住民税の計算方法を知ろう

お金のことを知ることで、お金のために働かない自由な人生に近づいていきましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた。